桜美林大学在学中から落語研究部に所属し、全日本学生落語選手権に入賞するなど活躍。
大学卒業後はエステティック会社に就職するも落語家になりたい気持ちから、会社勤務をしながら学生落語王者決定戦てんしき杯に出場した時に司会を務めていた鈴々舎馬るこの落語会に同行する。
会社を1年で退職後、2018年2月、十代目鈴々舎馬風に入門。
2019年7月21日、「美馬」と命名され前座となる。
2023年11月上席より二ツ目に昇進した期待の女流落語家。
2024年1月の二ツ目昇進披露公演は、異例の1,700人規模のホールで開催された。
2024年10月の令和6年度NHK新人落語大賞では、初エントリーながら本選に選出された。
Q1:落語家を目指したきっかけは?
落語と出合ったのは、大学時代。落語研究会の雰囲気に魅かれ、人前で話すのが苦手な自分を克服したい!という思いから入部しました。
CDやYouTubeで名人たちの落語を聴き覚え稽古に励み、人生初の高座は学園祭。
初めての高座は緊張もしましたが、衣装に身を包み座布団に座ると気持ちのスイッチが入り、自分の噺で皆が笑ってくれることがとても嬉しかったのを覚えています。
全日本学生落語選手権では全国4位になり、プロになりたいという思いが募りました。
当時は多くの人を笑わせたい!という気持ちの反面、素の自分はやっぱり話すのが苦手で…。大学卒業後は、一般企業に入社しました。
でも、心労で疲れて、自分が本当にしたいことを考えるように。
そして『やっぱり落語家になりたい』と決心。それからすぐに学生時代にお世話になった鈴々舎馬るこ師匠に熱意を伝え、鈴々舎馬風門下に入門したのがきっかけです。
Q2:社会人から芸の道へ。不安はありましたか?
もちろん不安だらけで、先が見えないときもありました。約1年半の見習い後、4年数カ月前座として研鑽を積みました。
事務の仕事も並行していたものの、OL時代に比べ収入が減ったり、化粧もNG(男社会なので女を出すのは御法度)だったり、同年代の友人(キラキラ女子がまぶしい)との差も感じたり。
前座の扱いは芸人ではないので、高座でも基本、お金はとれないんです。それでも噺を聞いてくれたお客さんの反応を見て、多くを学ばせてもらいました。
Q3:働く女性におすすめしたい落語の魅力は?
落語と一言でいっても、昔から噺継がれている『古典落語』や落語家が自作する『新作落語』があります。
落語家それぞれにも個性があり、しっとり系からハキハキ系など多種多様。
同じ噺でも雰囲気が変わるので、自分が共感できる落語家を見つけるのも楽しいですよ。
私の新作落語『エステサロン』シリーズの主人公・ラブちゃんは、毒舌な闇キャラで働く女性の気持ちや本音を代弁しています。
落語=古いモノと思われがちですが、代々継承される噺の技を磨き、今の時代ならではの喜怒哀楽を表現し、共感する噺に昇華するのが伝統芸能。
落語は、座布団・扇子・手拭いでその噺の世界観を表現し、聞く人の心の揺れ動きを誘います。そんな落語家の技も見どころです。
Q4:二ツ目に昇進! 今後の目標は?
2023年11月に、やっと落語家としてスタートしました。
これからは、師匠たちと同じ土俵で勝負していくので、嬉しい反面、期待に応えられるか不安もあります。
今は名前を覚えてもらえるよう、多くの寄席に出演しています。
落語は、落語家の人生が噺に滲みでて味や個性になります。時にどぎつい言葉があっても根底には優しさがあります。
笑いも涙も人情もある、噺を通して心が揺さぶられる体験も落語の魅力。
私自身が経験を積み、共感してもらえる表現力を磨いていきたいです。
それだけなく、今の私にしかできない噺、歳を重ねたからできる噺など、自分の道を切り開き、生涯現役を目指します!